当会は,国選弁護人に関する業務と,民事法律扶助を主な業務とする司法支援センター(-法テラス-以下「センター」と言います)については,法務省の管理下での設置が検討がなされている時から,反対の立場をとって運動をしてきました。その理由は以下の通りです。
まず,第1に,国選弁護業務を被告人の対立当事者である検察官が所属する法務省の管理下にあるセンターが行なうことになることから,独立性を保った形での国選弁護ができなくなる可能性があり,国選弁護の業務の遂行に障害ガ発生することにもなりかねないので,国選弁護業務をセンターが行なうことに反対しました。
次に,民事法律扶助は,戦後,弁護士法が成立した以後,弁護士会が,弁護士法に定められた義務である法律扶助の制度を,弁護士会あげてその使命を達成するために,財団法人法律扶助協会を設立し,弁護士会の経済的援助及び人的協力のもと,なかなか,国の経済的援助も少ない中で,国民の皆様の権利や人権を守るために,コツコツと努力し積み上げて大きく成長させてきたものであり,弁護士会が、国民の皆様の信頼をかち得る大変重要なものでした。また法律扶助は,国民皆様の法律上の権利を守り,ときには,国と対抗して,人権を国に守らせるための事件への援助等もできる国民の皆様にとっても重要な財産であったと考えられます。このように,国とも対立しながらしなければならないような業務を含む法律扶助の業務を法務省の管理下の団体に移転することは,弁護士や弁護士会にとってはもちろんのこと,国民の皆様の権利を守るという意味でも,大変問題があると考え,当会は反対運動を行なってきました。 おそらく,今センターと契約されている多くの弁護士や,国民の皆様は,もしセンターがなくなれば,それを担うことができる主体がなくなり大変なことになるのではないかとお考えになるかもしれません。しかし,これらの業務は,弁護士会や,以前あった法律扶助協会のような団体でも十分に担うことは可能であり,逆に,前記の様な業務の性質からすれば,法務省ではなく,国民皆様の立場にたって活動をする弁護士会やその関係の団体のほうがより国民の皆様に寄り添った形で弁護士が活動することをサポートできます。
そこで当会は,センターで行なっている国選弁護業務や法律扶助業務を、弁護士会や弁護士会が協力してやっていける団体を設立させて,業務において,より,弁護士としての独立性を担保できる形で,幅広く国民の皆様の法律上の権利を守りまた人権擁護活動ができるように,このような団体に業務を移転させることを目指しています。宜しくご協力お願い致します。