1 私たちは,政府が主導する司法制度の諸「改革」に多くの重大な問題が内包されていることに強い危機意識を持ち,その改善を提言し実現することを目的に集まった埼玉弁護士会に所属する弁護士有志の会です。
2 この政府主導の司法制度「改革」の結果として,刑事重大事件の裁判に国民が直接参加する裁判員制度が実施されました。しかし,この制度は,被告とされる人の防御権保障の観点からして問題が多く,且つ,裁判員となることを強制される国民にとっては憲法が禁ずる「意に反する苦役」を強いるものです。また,法曹人口が激増し,米国のように紛争ならなんでも裁判で決着をつけるという「訴訟社会」の到来が懸念されています。さらに,法務・検察の所管する日本司法支援センター(法テラス)が国選弁護人を管理・監督するようになり,弁護活動全般に萎縮的ないし謙抑的な傾向が窺がわれるようになってきています。
私たちは,これらにとどまらない様々な司法制度の諸改悪に対し異議を唱え続けるとともに,その抜本的改善や制度廃止に向けた活動を続けていきます。
3 このような司法改悪が進められたこの10年余りの間は,同時に,経済的格差の拡大や弱者切り捨てという政策が維持・継続されてきました。そして,このような流れは,TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加により,司法をも含めたあらゆる分野に拡大・強化されようとしています。
のみならず,政府・政権与党を中心とした最近の改憲論議では,国民に憲法尊重擁護義務を課すなど,権力制限を本質とする近代立憲主義を全く曲解し本末を転倒させた議論がなされています。このまま座視し続けるならば,憲法9条2項の非武装平和主義は廃棄され,米軍と一体となって世界中で戦争をする軍事国家に変貌させられることが強く危惧されます。司法制度にとどまらず,私たちは,このような政治・経済上の山積する諸問題についても注視し続け,そこにある重大な問題を抉り出す活動を続けます。
4 現下の司法や政治・経済を取り巻く問題状況を深く認識し,私たち連帯の会は,この地球上に生きるすべての人々が個人として十全に尊重される共生社会の実現のために,権力の様々な策謀を暴き続けるとともに,社会連帯の輪を広げるよう努力し続けます。